君を独占する方法
イヨ
好きだよ
離れてたって、ずっと
好きだから、忘れないで
駅のプラットホーム
ゆっくりと深呼吸して
一段ずつ、ゆっくりと階段を下る
その改札の向うに
よく見知った姿を見つけ
自然と、表情が綻ぶのがわかる
久しぶりに逢えることが
こんなに、嬉しいなんて
今までは、ずっと思いもしなかった
「久しぶり」
「久しぶり、元気にしてた?」
それから、どちらからともなく
歩調を合わせて、歩き出す
時間がゆっくり、廻ってく
他愛もないおしゃべりをして
途中で見つけた店でクレープを奢って
何でもないけど、それが幸せだった
けれど、その途中―――
「・・・羽深先輩?」
「あれ、中関?」
「あ・・・」
去年の春、夏と見た
帝北学院の子と出逢った
オレが呆然としているうちに
2人は楽しそうに話をしていて
入り込めないような雰囲気で
時々、楽しそうな羽深の笑顔を見ると
何故か少し、胸が苦しくなった
―――この子は、オレが知らない羽深を知ってる
そう、思うと
何だか少し、羨ましくて
離れていた時間を感じて
少し、距離が遠くなってしまったようで
羽深が全然、知らない人のように思えた
時折、話を振られても、曖昧な返事しか、できなくて
2人にも、申し訳なく思った
「・・・羽深先輩、そろそろ帰りますか?」
「え?あ、うん」
「オレと帰ります?」
「そうだね、じゃあ・・・」
「―――・・・っ」
ぎゅっ
「・・・えっ?」
「えっ?・・・あれ・・・?」
珍しく、驚いたような羽深の反応に
思わず、自分の手元を見ると・・・
「ご・・ごめん・・・」
羽深の服の裾を握ってしまっていた
無意識のうちにやっていたということもあってか
恥ずかしさのあまり、すぐに手を離す
けれど、中関くんは何かに気付いたようで
納得したように頷いて
「―――ああ、そういうことですか」
「えっ、えっ?」
自分でも訳がわからないでいると
彼は、羽深に向かって言った
「・・・オレ、先に帰りますね」
「「えっ!?」」
思わず、オレまで反応を返す
そんなオレたちに構わず、続ける
「・・・もっと、一緒にいてもいいですよ
羽深さんも、穂村さんが来てくれて嬉しかったんでしょう?」
「えっ?何で俺の名前知っ―「うわあぁぁっ!」?・・・羽深?」
そんなオレに対し
肩をすくめ、彼は言った
「・・・そりゃぁ、貴方の話はよく聞いてますから」
「えっ・・・?」
羽深が・・・?
・・・一体、何を話しているんだろう?
つい、羽深の方を見ると
ほんの一瞬、目が合った
けれど、意識的にその視線を逸らされる
・・・何か、気に障るようなことをしてしまったのだろうか?
等と、思わず、考えていると中関くんは立ち去ってしまった
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「・・・羽深?」
その間、終始無言だった
彼の方を、ふと見やる
「・・・っ中関が」
「?」
「・・・中関が言ってたことは、あんまり気にしないで」
「?うん?」
いつもと様子が違うので
ふと顔を覗き込むと
その頬は少し赤く染まっていて
「・・・わかった」
なんとなく、答えがわかったから
だから、とりあえず聞かない
その代わり、ぎゅっと抱きしめる
「!?ほ、穂村・・・?」
「何・・・?」
「・・・何でも、ない」
少しの間、沈黙が流れる
「・・・逢いたかった」
ぽつり、と
聞こえないほどの声で、告げられる
恥ずかしそうな、その声に
思わず笑みがこぼれる
でも、悔しいから
オレからは『逢いたかった』とは言ってあげない
代わりに、かすかに腕に込めた力を強める
―――今、この瞬間だけは
君を、ひとりじめ
あとがき
淡海築さんキリリク11300HITの穂羽でした。。
お題4『独り占め』のハッピーエンド編っぽい感じで
読んでいただけると嬉しいですv
中関くんは・・・今回、出来心で出してしまいました
・・・彼らしい感じになっていれば良いなぁ、と思いつつ
実際にはなってないかも知れません、多分(爆)
とりあえず、テーマは『穂村くんにやきもちを妬かせてみよう』ということで
誰なら妬くかなぁ、と思いながら、海老原さんやらキヨさんやら
いろいろと候補はいたわけなんですが、
今回は中関くんにご出演していただきました;
でも、結局は穂羽です(結局そこか)
私の書く穂村くんは自覚がない上に天然気味なのですが
今回は・・・中途半端に自覚してます(本当に中途半端だなぁ・・・)
すみません、所詮は穂村好きらしいです
最近、ようやく自分でも実感してきたところです(遅)
ではでは、楽しんで頂ければ幸いですv
ここまで読んでくださり、ありがとうございました
☆管理人からのコメント☆
イヨさん・・・っいつもお世話になっております!
あなたの穂羽への愛はしかと受け止めましたよ!!(笑)
わああい独り占め独り占め!独占スペシャル!!><
美味しく頂きました!おご馳走様でした(ぺろり)
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