++ アサ美+++ 「雪降ってるよ。」 横から声がした。 それはいつもの幼馴染の声で。 いつもなら睡魔が襲ってきて軽く受け流す声も、今日だけは眠気などどこかへ吹き込 んだ。 「・・・・・・・雪じゃねえか・・・。」 まだ温かく、その体温が名残惜しい布団から出て、 窓のどの景色を確認しようとガラスにべたりと手を付いたオレを、あいつはいかにも 楽しそうに笑う。 「さっきから言ってるだろ?・・・何?いつもは誰が起こしても起きない奴が、雪で 起きるなんてさ。」 「うるせーぞ、珊瑚!」 「・・・これじゃあ交通も止まってるんじゃない?良かった、冬休みで。」 こいつは何処か苦手だった。 普通の女ならばびくり、としてしまうオレの怒鳴り声にも反応はなく、いつもさらと 交わされてしまう。 本人曰く、 「あのねぇ・・、あんたみたいなのとずっと幼馴染やってたら嫌でもこうなんのっ !」 ――らしいが、よくそれがわからない。 それをまた珊瑚に言ってみても、得意のコトバですぐかわされてしまうのだろう、 そう思って、オレはまだ、珊瑚がヤケに気にしてる『幼馴染』という関係にとどまっ ている。 「こら、犬夜叉。何なの、せっかく珊瑚ちゃんがお蜜柑届けてくれたのに・・・。し かもまだパジャマで?」 「あ、いいよ、おばさん。琥珀もまだパジャマだったもん。慣れてるし・・・。」 おふくろが勝手にオレの部屋に入ってきて、珊瑚と世間話など始めた。 珊瑚は、おばさん受けがいいらしい。(少なくとも、うちの母親には評判がいい。) 近くでペチャクチャ騒がれたらさっきまで頭の中にうっすら残ってた『再度寝る』と いう選択肢もどこかへ行ってしまった。 ずるっとベットから起き上がって、部屋を出て行こうとする。 やはりまだ、体は寝起き特有の気だるさに包まれていた。 「なに?起きるの?」 オレの変化に気付いたのは珊瑚。 「あー・・・ああ。」 曖昧な返事を返した。 まだ思考回路が正確に働いていない。 「あ、じゃぁあたし帰ります。うちの父さんがヨロシクって言ってました。」 「あら、そお?気を付けてね。結構降ってるから。」 「大丈夫ですよ〜。だって、隣だもん。」 「っていうか、お前ならこけても心配ねえしな。」 「これ、犬夜叉!」 「あんたもこりないね〜。まっ、あたし帰るけど、寂しがるんじゃないよ?」 珊瑚がオレを煽るように手をくるくると回す。 「誰がだッ!」 条件反射で怒鳴るけれど、それにも何の反応も示さなく、ケタケタと笑っている。 「ちゃんと朝ごはんも食べるんだよ?」 「いいだろ、別に。」 「食べないから頭ボーっとするの。」 確かに、ボーっとはしていた。 見透かされていた。 「たくさん食べれないなら、あたしが持ってきたミカンでも食べとけば?あれ、結構 エネルギーになるんだって。」 「ふぅん。お前ってばばくさい事知ってんのな。」 「犬夜叉が知らなすぎなんだよ。」 「後で外に来たら?琥珀の相手してやってよ。」 「・・・気がむいたら。」 「そう、ヨロシクね。」 あいつはそう言いながらドアを閉めた。 1時間後、『琥珀の相手』という名目で外に出たら、珊瑚が笑って「待ってたよ。」 と言ってきた。 そして、オレの手にぴったり合う手袋を渡してきて。 「あたしと琥珀と雪合戦しない?」 わざとオレが好きな雪遊びを指定する。 見透かされていた。 ++++++++++++ 設定は『素直じゃない犬夜叉と、何でも見透かす幼馴染珊瑚。』 (アバウト・・・)です。 「犬&珊が現代にいたら絶対幼馴染だ!」という私の大変勝手でドリー夢な思い込み によって創られました。(痛) でも、二人ってこんなカンジですよね。お姉さんと弟?(失礼) ***私の勝手な小説です。気分を害された方、どうもすみませんでした。石は投げ ないで下さい! ********何気に小心者なアサ美でした。 管理人から☆ アサ美さんっ。ご投稿ありがとうございました〜vv 意外な状況設定に驚きでしたが、珊瑚がしっかり者な点でなんとなく納得でした。 犬夜叉のお母さんがなんか普通な感じでしたvv 個人的には「見透かされていた」の文がツボですぅ〜 なんか・・・続くような気がするんですけど・・・すごくっ; ではでは、お疲れ様でした〜>< |
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