初めて出会った時は、


なんだか怖そうな人だなって思った。

いつも本ばかり読んでて、
たまに口を開けばクロトやシャニを怒鳴りつけて…。






黙ってればカッコイイのに勿体無い。




















オルガ・ブナック
















「あ……オルガ…」


マズイ事になってしまった。




「シャニとクロトは……?」

「おっさんに連れられて電気屋。…新作のゲームとCDの発売日なんだと」


ぶっきらぼうにオルガが答えると、はわずかに頬を引きつらせ、
ギコチナク自分のベットに腰を降ろした。






アイツらめ…。
あれほど出かける時は私も連れて行けって言ったのに…!!




悶々と、もう既にここには居ない二人に怒りをぶつけると、
はそっとオルガを見つめる。


「オルガは…何してんの……?」

「あぁ?本読んでんだよ、見て解るだろ」

「ぅ……ゴメン」


なんとか会話をしようと思った事が間違いだったのか、
オルガの不機嫌そうな声色に、はシュンとうなだれてしまった。




クロトとは一番背丈も近く、ゲームという共通の趣味も保持していた為、
今ではすっかり一番の仲良しだ。二人で夜通しゲームをし、同じ布団で眠る事だってある。


シャニもああ見えて優しく接してくれる事し、
何より色々と話を聞いてくれるので、は何かあるとすぐにシャニに相談した。
ふわりと髪を撫でて貰ったり、抱きしめてくれたりすると凄く落ち着く。





けれどもオルガとは、全くと言っても過言ではない程に接点がないのだ。

だからは、余計にオルガに対して苦手意識を持っている。




クソゥ…二人共早く帰って来ないかなぁ…。




半ば涙目になりながらがベットに身を投げ出すと、
“バキッ”と嫌な音が部屋に響いた。


「へっ…?」



その音にも驚いたが、
はまたオルガの気分を損ねてしまってはいないかと不安になり、
恐る恐るオルガを見やった。


「……」




あぁやっちまった。




は心底後悔した。
なんでこんな所に、シャニのMDケースが置いてあるのか…。


それにしたって、そこまで大きな音を立てて壊れなくたっていいじゃないか。
せめてオルガに気付かれないように、そっと壊れてくれればいいものを…!(無茶)



のその思いとは裏腹に、
当然の如くオルガはソレに気付き、こともあろうか本を机に置いて
に近づいてきたのだ。




「おい…」

「ご…ッ!ゴメンなさいホントすみません!!もううるさくしないから殴らないで……ッ!!!」


横たわったまま放心していたにオルガが手を伸ばすと、
は凄い勢いで壁際に身を引き、オルガに向かって必死に頭を下げた。




「………チッ、誰も殴りゃしねぇよ…!」


するとオルガは伸ばした手を握り締め、顔をしかめて苦い顔をした。




そんなオルガの表情など見えるはずも無く、
はホッとしたようにゆっくりと頭を上げる。







よかった…。殺されなくて……!!







かなりオーバーな表現だが、
にとってオルガはそれ程恐ろしい存在なのだ。



の心底安心したような表情を見ると、
オルガは眉間のシワを更に深く刻み、気付かれないよう大きな溜息を漏らした。




「お前さぁ…」

いきなり声をかけられ、再びの体はビクリと強張る。


「な、何……?」



「そこまで俺の事嫌いな訳?」




呆れたような、けれどどかこ悲しそうなオルガの表情に、
は彼が何を言っているのかが解らなかった。





「え…?」

「クロトやシャニとは同じ布団で寝たり、抱きしめたりしても何も言わねぇクセに、
俺はちょっと近づいただけで『殴らないで』?俺、お前に何かしたか?嫌われるような事…」




大きいはずのオルガの体が、今はとても小さく見えた。


自分が何故そこまで警戒されなければならないのか…?
オルガはもどかしさに怒鳴りそうになるのを必死に抑え、
けれども怯えさせないよう一定の距離を保ちながら貴方の答えを待つ。




「ちょ…!ちょっと待って…!私、別にオルガの事嫌ってなんかいないよ!!」

「ハッ…!あんな態度とっといて、嫌いじゃない?嘘つけよ」


慌てて否定するの言葉を、信じないとばかりにオルガは鼻で笑い
肩をすくめた。


「だって…オルガこそ、私の事嫌ってたんじゃ…?」

「ぁあ!?誰がンな事言ったよ!?」

「ぁう……;だからソレが怖いの…」


つい怒鳴ってしまったオルガに、は眉をハの字に曲げて後退する。
怯えてちぢこまるを見て、オルガはまたやっちまったと後悔した。




「……悪ィ。
怒鳴って悪かったから、…だからもう、そんな怯えないでくれよ…」


そう言ったオルガの体はやっぱりやけに小さくて、
はつい可愛いなと思ってしまう。




元々大人しくて可愛いモノが好きなは、
少し怯えつつもオルガに近づきそっと頭を撫でた。



「ごめんね…。まさか、オルガがそんな事気にしてると思わなくて…」


……」








―――――――――――――ドサッ









「へ?」


次の瞬間、風景がガラリと変わる。

目の前にあるのは、さっきまでは凄く小さく見えていたはずのオルガの体。
そして天井。




程よく引き締まったその体はやはり大きくて、
シャニの胸とは違う圧迫感がある。男の人…って感じ。




「ぉ…オルガ…さん…?」


がオルガの頭を撫でていると、いきなりベットに押し倒され、
上に跨られたのだ。

オルガに組み敷かれる形で、はオルガを見上げる。


「って事は、怒鳴りさえしなけりゃ、俺も同じ布団で寝たり、抱いたりしてイイんだろ?」












………なんか

『寝る』と『抱く』のニュアンスが違うような気がするのは、私の気のせいですか……?








「あの…、もしやとは思いますが、その『寝る』は睡眠の方の『寝る』ですよね…?」

「ンな訳ねぇだろ?SEXの方の『寝る』に決まってんじゃねーか」




当たり前のように答えるオルガの豹変ぶりに、は脱帽した。
こんな事になるなら、
今までの関係の方がよっぽど良かったんじゃないかとすら思う。









「ずっとが好きだったんだ…これ以上我慢出来るかよ」




けれどその言葉を聞いて、はコロリと堕ちてしまった。
今までに見た事が無い位幸せそうに微笑むオルガの顔を見て、
一瞬で恋に堕ちてしまったのだ。











だってなんだか




「オルガって…、御伽噺に出てくる王子様みたいね」




なんて、柄にも無く思ってしまったから。






「そんな高貴な雰囲気出てる?」

「顔だけね」

「ハハッ!まぁ体の方は、これからたっぷり御賞味頂くとしますか」

「下劣――…。やっぱ顔だけかな」

「お前…覚えてろよ…。絶対ヨかったって言わせてやるから覚悟しとけ」




抱き合いながらフザけてが悪態をつくと、
オルガは半ばマジになっての体のいたる所に愛しげにキスを落とす。





「怖いか?」


「…ちょっとね。けど、オルガは素が怖いから、多分平気」



クスクス笑うの唇に軽くキスを落とすと、
オルガはとても幸せそうに笑った。



















 *   *    *









「オルガさぁ…。俺のに一体何した訳?」




翌日、
ようやく帰ってきたシャニとクロトは部屋から出てこようとしないを不信に思い、
オルガを問い詰めた。



「お前等がいつもにしてるような事だぜ?」




オルガは意地の悪い笑みで笑うと


『ちょっと意味が違うけどな』    と、心の中で呟いた。
























fin




*****後書き*******

キリリク作品として書いた初!オルガ夢☆
な…なんかへタレなんだかよく解らない微妙なオルガさんで申し訳ありませ…ッ!!
ってかエセもいいところですよね…(汗)
こんなんでよければ貰ってやって下さいませm(__)m
淡海様、キリリク有難う御座いました〜Vv


                       04/04/04  緋邑 遊戯 拝

管理人から

緋邑さんのサイトさんで300を踏んだ際リクさせて頂きました!
緋邑さんありがとうございましたv
口の悪いオルガが好きな本命クロトなオウミノでした!(謎)