3.yes






なんでもない時間を共有できる


ありったけの喜びをかみしめることは最高の幸せ



















「ねえ、アスラン?」


「ん?どうした?


当たり前のように自室のソファの隣に腰掛ける

特にすることも無く少し大きめのテレビのチャンネルを
すらりと伸びた白い指先でいじくりまわしながら
不思議そうに彼は顔を上げた






「・・・ザラって呼んでもいい?」


「は?」




反射的に聞き返した顔が余りにも間抜けだったのか
はくすくすとおかしそうに声を立てずに笑った





普通は逆なのではないか


情けなくこほんと咳払いをしながらも
頭の隅ではしっかりと先ほどの言葉を反芻する





今まで姓で呼んでいた者を
親しくなったのでファーストネームで呼ぶ、ということはよくあるが
その反対はあまり聴いたことがない。


せいぜい、コドモじみた喧嘩の最中に憤りを示すためにわざと言うくらいのものだ




思い当たる節も見つからないまま、思わず眉をしかめてを見つめる

何もかもがいつもどおりで平凡な午後だった




「嫌?」


「嫌・・・ではないけど。何でまた急に」




焦れたように見上げてくる
とりあえず 降参、といった感じにため息を吐く



満足そうに口元を吊り上げて
してやった誇らしさに笑顔を作るにますます居心地が悪く、
性急に答えを知らなくてはならないような焦りを感じて
観念したように上目遣いで見つめ返した





「知りたい?」


「うん」




素直にうなづくと冗談っぽい苦笑が狭い部屋に反響する



「だって・・・いつもどおりなんだもん」


「え?」





さも当然のように言ってのける
アスランは目をしばたたかせてすっとんきょうな声をあげる

それを境にが続けた




「なんとなく・・・いつもと違うことをしてみたくなっただけよ」



日常の皮を破ってささやかな変化を求めてみた、といったところか。
理由がわかってほっとしたように落ち着きを取り戻したアスランは
目の前の茶色い瞳に穏やかに微笑みかけた





「ねえ、いいでしょ?今日だけ」





に呼んでもらえるならなんでも嬉しいよ」










あんまり簡単だったから


拗ねたように つまんない、と一言呟いて


耳元に小さくささやくように


アスラン、と呼びかけた




























あとがき
アスラン夢第二段です。
夢は難しいです・・・現在試行錯誤しながら研究中。
いつか・・・いつかイザークと意地っ張り喧嘩しまくる夢を書きたい・・・(えぇ?!;)