16.「忍ぶ恋」









ちらちら  ちらちら   降ってくる



積もっていく



その気持ちは 雪に似て













ふるっと小さく身震いをし、

あわててはあっと拳に白い息を吐きかけて
こしこしとこすり合わせる

摩擦の原理で、少しだけ暖かくなったような気がした


気休め程度の長いマフラーも、こうなっては役に立たない



ようは 心の持ちようなのだ







「うーっ 寒! 
 子供はよくこんな日に外に出て薄着で遊んでられるよね。 
 気が知れないよ。足跡つけて何が楽しいんだか。」
 



自分も外見はきっちり小学生なくせに
不似合いな悪態をついてみる


「・・・燈絽ちゃん、私・・・雪だるま、作って・・・みたい」
「行こうか」


燈絽、と呼ばれたその少年は
控えめに希望を告げた少女の手をとり、
急に手のひらを返したかのように、協力的に立ち上がった








「・・・うんっ」

弾んだ声で、短い返事が返ってくる

まいったね、と顔を上げてぎこちなく笑みを返した

























外にでてみれば世界は本当に真っ白で

一面の雪化粧、とはよく言ったものだと一部で感心しながら

そっと足元に手を伸ばした


指先で触ると 冷たくて

一瞬背筋がぞくっとしたけれど

すくい上げると気持ちよかった





はらはらと、土気交じりの白が、地面にしみこんでいく


鉛色の暗い雲は、今尚穏やかに流れていて

風力は弱く、コートの前が少し開いたけれど、あまり気にならなかった


ちらりと横を見ると ぺたぺたと一生懸命雪を丸く固めている少女の姿が見えた







そうしていると、とても年上には見えなくて

いつも自分が気にしていたことがなんだか小さなことに思えてきた







「紀沙、それじゃだめだよ」

努力もむなしく何回やっても崩れてしまう

しばらく観戦していたけれど、ふっと小さく噴出して手を貸した

「これはこうして・・・ほら、できた」

紀沙はしばらくぽかんと手元を見ていたけれど

手際よく完成させて手のひらサイズの小さな白い塊を手渡すと

ふふっと声も無く笑って大事そうに受け取った

少しでも力を込めると壊れそうにもろい

手のひらと陽の温度で少しずつ解けていった

午前中に作ったそれは、お昼頃にはすでにぽかぽかしてきた気温とともに消えた







頼りなく、笑った


それが自然の法則だと知っていて


それでもなぜか、少しだけ哀しいと 笑った



































どんなに声を押し殺したことだろう

いつからこんなふうに思っただろう























この気持ちは雪に似て


はかなく 白く 空に舞う


消して言葉となることはないけれど


想いが 積もって 消えていく























でも 雪は また降るよね と





空を見上げて曇りなく笑った



































































あとがき
かずさんリクエストフルバほのぼの冬の話でした!
・・・いかがでしょうか?すみません、ヒロキサとも言い切れないヒロキサで;
頑張って書いたので、よかったらお持ち帰り下さい!
次は長編に挑戦します〜><;