心のありかを探るように 伸ばされた手がとてもひんやりと冷たくて 思わず手を引っ込めた。 真ん中できっちりと分けられた黒髪が揺れて 大きく目を見開いた少年が ごめんな、と言って席を立つのにそう時間はかからなかった 西日の差し込むカウンターに一人ぽつんと残されて ほとんど空になったオレンジジュースのグラスを傾け からん、と溶け掛けた氷が音を立てると同時に は大きくため息をついた いやだったわけじゃなかったのに。 そうしてまた視線を落とす。 しっかりと二人分の勘定を済ませた領収書が いささか乱暴に机の端に置かれていて それがさらに虚脱感を誘った くしゃっと手の中に丸めて店を出る 指に当たる薄い紙のつぶれたざらざらした感触に 体温の移るような寒さを感じながら 走った すでに薄暗くなった町の上空にはひとつふたつの星明りが出ていて 月は霞がかった雲に光を遮られながらも ちらちらとまん丸な形を主張していた だから、一瞬気づくのが遅れた 月の真下にいた彼はどこか寂しげで 周囲に零れる月光も、町外れの食卓の営みの灯りも、星たちさえも 焦点をあわせるのを拒むかのように彼だけを避けて散りばめられていた やがて一層自己主張を増した黄色を 引き立て役のように見上げて笑う そのしぐさはどこか哀愁が漂っていて 思わず抱きしめたい衝動にかられた ので。 「?」 「アスラン・・・ごめん」 おずおずと確かめるように背中に回された腕は思った以上に冷たくて 胸に顔を埋めているのでからは見えないけれど きっとうろたえた表情をしているであろう彼の 呼びなれた名を呼ぶ声が妙に甘く響いた ごめんね、ともう一度言って顔を見合わせたふたりが コーディネーターの軍服の色に頬を染めて慌てて体を離すまで 月はなだめるかのように スポットライトを照らしてくれた あとがき 初めてのSEED作品が、まさかドリーム小説とは。 しかもアスラン・・・(謎)緊張しました。短くてすみません 因みに私はアスカガ・アスラク・キラクス・キラカガ・キラフレ・アスイザを 平等に愛するイザークスキーです(笑) 勿論アスランも大好きですよ!MYブームはミゲルですが(何) 夢はあまりにも久しぶりだったのでちょっとリハビリ代わりに。 遅まきながらSEED最熱中のオウミノでした! | |||